Classiques japonais avec furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lisez アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) de 渡辺 温 (わたなべおん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 168 caractères · 267 écrans
姉は、私にその病気が伝染するのを恐れて、もう一緒に寝るのは止してしまった。
私は淋しく一人で寝た。そして一人で寝ている中に、何時の間にか大きい大人になった。
2
到頭、或る日姉は私が本当の大人になってしまったことを覚った。
遊び友達のない私は、家の裏の木に登って、遠くの雲の中に聳え重なっている街を見ていた。すると姉は私の足をひっぱって、私を木から下ろしてしまった。
姉は私のはいている小さな半ズボンをたくし上げた。
姉はさて悲しい顔をして首を縦に振ってうなずいた。
姉が首を縦に振ってうなずく場合には、我々普通の人間が首を横に振って、いやいやを、するのと同じ意味なのであった。彼女の愚な父と母とは、ひょっと誤って、幼い彼女にそんなアベコベを教えてしまったのだ。不具者のもちまえで、彼女は頑に、親の教えた過ちを信じて改めなかった。
姉は幾度も私の脛を撫ぜて、幾度も首を縦に振った。
――姉さん。どうしたの?」と私は訊ねた。
姉は長い間に、私と姉との仲だけに通じるようになった。精巧な手真似で答えた。
――ワタクシ、オマエガ、キライダ!」
――なぜです?」
――オマエハ、モウ、ソレヨリ、オオキクナッテハ、イケマセンヨ。