Classiques japonais avec furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lisez アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) de 渡辺 温 (わたなべおん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 168 caractères · 267 écrans
』
エミ子は雄吉君を止めました。
ところが、それでもきかずに、猶幾度か化物の折檻をこころみている中に、雄吉君はつい誤って、小石を硝子枠にぶつっけてガチャン! と、大きな硝子を一枚破ってしまったのです。番人が仰天して、遠くの方から馳けつけて来て、雄吉君を取り抑えました。それでエミ子は、さんざん詫びた末、五円の弁償金を代りに払ってやりました。そうしてほうほうの体で逃げ出さなければなりませんでした。
再び桟橋を渡って、片瀬から今度は鵠沼の方へ続く寂しい海岸を暫らく見て廻ったのですが、これもやっぱり甲斐ないことでした。エミ子は、何とも云えない遣るせない気持になって、また泣けて来そうでした。お雄坊の前なんかで不覚の泪を流すのは辛かったので、それに陽ざしもそろそろ赤くなって来ていたし、思い諦めて江の島遊園地を引き上げました。
東京へ帰ると、もう日が暮れていました。高架線の上から銀座の灯を眺めた時、エミ子さんはほんの少し元気になりました。
『お雄坊、お腹が空いたでしょう。あたし、些も気がつかなかった。ご免なさいね。』
『うん、まるで破れた大太鼓みたいに空っぽになった。