Classiques japonais avec furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lisez アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) de 渡辺 温 (わたなべおん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 168 caractères · 267 écrans
併し、Aと、B夫人との間はそれから加速度的に接近して行った。
夫の仕事の邪魔になるからとか、学校の研究会で帰りが遅くなって、一人でいるのは淋しいとか、いろいろな口実のもとに、Bの細君はAの家に入り浸った。
一度なぞは、Aの役所の退け時に、さも偶然らしく役所の前を通りかかって、一緒に散歩してお茶を飲んだり、自動車に乗ったりして帰って来た。尤も、その時はAも表面で全く成心なさそうに振舞ったが、併し家へ帰ると、二人ともそのことを内秘にしていた。
またBの細君はタンゴ・ダンスがうまかったので、A夫婦にも教えることにした。けれども、Aの細君の方が何時も気のすすまない顔をしていたので、大ていAばかりを相手にして踊った。Aは彼女と四肢を張り合わせるようにくっつけて、客間の中を引っぱり廻された。そして女の体を胸の中に抱きかかえる姿勢のところに来ると、自分の細君の方を振り返って赧くなるのだが、だんだん狎れると、一層赧い顔をしながら、そっと両腕に力を入れた。
「ごめんなさい、奥さん。――」とBの細君は、Aの細君へ彼女の夫の腕の中に身をたおしたまま声をかけるのであった。