Classiques japonais avec furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lisez アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) de 渡辺 温 (わたなべおん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 168 caractères · 267 écrans
』
『いや、僕は、そ、それでも――』
Y君は我にもなく面喰ってしまったのである。
『さ、どうぞ、はっきり仰有って下さいまし。こんなに長い月日の間、あなたが恋こがれていらした女は、此処の家の誰なのですか?』
『あなたは、何だって、そんな莫迦な物の訊き方をなさるのです?』
『莫迦なですって? まあ、飛んでもない。妾は、あなたのその飛びはなれた執心のお蔭で、この邸をたった今追い出されたばかりなのですからね。』
『いやはや、どうも、僕には信じ兼ねます。』
『お解りにならないのですか? つまり、こうなのです。――あなたを一番初めに見付けたのは、お嬢さまなのです。御存知でしょうね、世界中でレデレルの相手役をして見劣りがしないのは、家のお嬢さまたった一人だと云うんですからね。お嬢さまは何度も何度も、休み日にはきまって、あなたが同じような恰好で此処のところに坐っていらっしゃるのを見かけたのです。お嬢さまは、間もなくお覚りになりました。そして或る日爺やさんに「あの兵隊の襟章を見て来ておくれ」と云いつけたのです。爺やさんが橙色だと云うことを確めて来ると、お嬢さまは「第三十騎兵連隊の下士だわねえ。