Classiques japonais avec furigana
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イプセンひゃくねんさいこうえん
イプセン百年祭講演
久保 栄
Lisez イプセン百年祭講演 (イプセンひゃくねんさいこうえん) de 久保 栄 (くぼさかえ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 839 caractères · 14 écrans
一体、イプセンは大器晩成型の作家でありまして、たとえばゲーテは、もし三十で死んだとしても「ゲッツ」と「ウェルテルの悲しみ」を残して行ったわけで、しかも、この二つの作品は、同時代人を動かした傑作なのでありますが、イプセンは、もし三十で死んだとしたら、文学史上に不朽の名を残すことはできなかったでしょう。初期のイプセンがスカンヂナヴィアの伝説から取材して書いた作品は、決して傑れてはおりません。また、もし、この時期に、後の時代に見るような社会劇を書いたとしても、おそらく、その視野のせまさは、彼に傑作を許さなかったと考えられます。三十五歳で彼は初めて「両王材」を書いて世間に認められ、その後三十六歳にして放浪の旅にのぼり、二十七年間というもの故郷に帰らなかった。この間のコスモポリタンとしての生活が、実に彼の社会的視野を広やかな豊かなものとし、彼の作品のテーマに一般的な普遍性を与えたわけです。で、放浪の旅のうち二十年を彼はドイツのドレスデン、ミュンヒェンに過したのですが、「ブランド」「ペエル・ギュント」以下、彼の傑作は、すべて国外で書かれました。この二十七年間の外国滞在中に、彼は五ヶ国の言葉を勉強し、読書の方面ではかなり上達しましたが、会話はその一ヶ国語も満足に話せなかったそうで、日常の用さえ弁じかねた。