Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

オリンポスのかじつ

オリンポスの果実

田中 英光

Lisez オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) de 田中 英光 (たなかひでみつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 277 caractères · 147 écrans

Aozora Bunko

ぼくは初めから川北氏に無視された形でしたが、ここでも語学の点で、尚更ひっこんでいなくてはならず、それでもなにかの役に立てばと独りで興奮して、二人の会話を傍観していました。

ぼくにはよく解らないながら、川北氏の一言一句はネルチンスキイの肺腑に染み渡るとみえ、彼はいかにも恐縮した様子で、「I'm sorry.」を繰返しては頷いていました。タイなしのカッタアシャツに灰色の上衣をひっかけた五尺そこそこ無髯の川北氏が、六尺有余、でっぷりした赭顔の鼻下にちょび髭を蓄えた堂々たる紳士のネルチンスキイを説得している有様は、まるで書生が大臣をへこましているような快感がありました。

その話も結着して、川北氏に別れ独りになって甲板を歩いていると、なんとも言えぬ淋しさがこみあげてきて、なに一つできぬ自分がほんとに厭になった。自分の意気地なさ、だらしなさ、情けなさが身にしみ、自分の影法師まで、いやになって、なんにも取縋るものがないのです。星影あわき太平洋、意地のわるい黒い海だった。

≪花は咲くのになぜ私だけ、二度と春みぬ定めやら≫と音痴の歌をくり返しては口ずさみ、薄暗い廊下を歩いてゆくと、向うの端から、仄白くあなたの姿が浮んできました。