Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

オリンポスのかじつ

オリンポスの果実

田中 英光

Lisez オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) de 田中 英光 (たなかひでみつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 277 caractères · 147 écrans

Aozora Bunko

ぼくみたいな男でも、かりにも日本の Delegation として戦うのだ。自分の全力の砕けるまで闘わなければ済まない。恋なぞ、という個人的な感情は、揚棄せよ。それが、義務だという声もきこえる。それより、ぼくも棄てたいと望んでいる。が、そう考えているときのぼくに、はや、あのひとの面影がつきそっている。あのひとが、そう一緒に望んでくれる、と思うのだ。

これからのぼくは、一心に、あのひとを、どっかに蔵い込もう。日本に帰る日まで、一個人に立ち返れるまで、とこの言葉を呪文として、ぼくは、もう、あのひとの片影なりとも、心に描くまい≫

そう書いた、次の日の日記に、

≪かにかくに杏の味のほろ苦く、舌にのこれる初恋のこと≫

もっと、ここに書くのも気恥かしいほど、甘ったるい文句も書いてありました。で、ぼくは大切に、一々トランクの奥底にしまい込んでいたのです。

ところが、ある日の午後、例によって、ベッドから、脚をぶらんぶらんさせ、トランクを台にして日記を書いていると、いま外に出たばかりの松山さんと沢村さんが、カッタアシャツ一枚で、ぬッと入って来ました。

ぼくは、あなたのことを、感傷的な形容詞で一杯、書き散らしていたところですから、なにか照れ臭く、まごまごすると、慌てて手帳をベッドの上の網棚に、抛りあげ、そそくさ、部屋を出て行き