Classiques japonais avec furigana
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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
Lisez ガラマサどん de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 99 079 caractères · 202 écrans
何うしても苦情らしくなります。何しろ女房に相談なしに頭を円めて出家をするんですから、筋が無理でございますよ」
「無理なことはないさ」
「へい」
「その時の熊谷の心持になれば悟れるんだ」
「なれませんよ。後で女房が困ります」
「馬鹿だね。ハッハヽヽ」
「ヘッヘヽヽ」
と太夫さんは頭を掻いた。
「しかし実をいうと、我輩も熊谷じゃ少し食い足りない」
「何と仰有いますか?」
「あの時代に生れ合せれば、一国一城の主になっている積りだ」
「お大名でございますな?」
「うむ」
「唯今でも御財産から申上げれば立派なお大名でございます」
「何うもお前は賤しくていけない」
「へい/\」
「一国一城の主にしてからが、我輩の性格では何うも終りを全うしそうもない。光秀だろうね、差詰め。光秀を語ると我輩の本領がそのまゝ現れる」
「太功記は社長さんの十八番物でございますな」
「何うだね?」
と社長は太功記を語りたいのだった。
「へい」
「草臥れたかね?」
「そんなこともございませんが……」
と太夫さんはお辞儀をしながら私達に訴えるような目使いをした。
「社長」
と中島さんも慌てたようだった。
「何だい?」
「もう十二時半でございます」