Classiques japonais avec furigana
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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
Lisez ガラマサどん de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 99 079 caractères · 202 écrans
迷惑千万な話さ」
「イヨ/\佳境に入りますな」
「そこで我輩は或日谷川へ行って、大きなガラマサどんを捉えて来た」
「はあ?」
「ガラマサどんさ」
「何ですか? 一体全体」
「蟹だよ」
「はゝあ」
「蟹の大きなのを捉えて来て、奥さんの袂へ入れた。夏のことだから、ガラマサどん元気が好い」
「ハッハヽヽヽ」
「這い上って行って、腋の下を挾んだ。大変な騒ぎさ」
「ハッハヽヽヽ」
と私達は大笑いをして顔を見合せた。危い/\。
ガラマサどんは国産ビールの外三つ四つの会社に関係しているから忙しい身体。日中、閑といっては殆んどない。話し始めると間もなく、訪問客が見えたり重役が入って来たりして、
「それじゃ熊野君、今の続きは今晩ゆっくり話そう。思い出した時やって置かないと忘れてしまうから、御苦労だけれど、今晩七時までに来てくれ給え」
というようなことになる。私は家へ帰って、夕食を認めてから、淀橋の新邸へ出頭する。そこでは滅多に邪魔が入らない代りに、社長は思う存分待たせる。時間をやかましく言う人だが、あれぐらいの地位になると、自分のことは特別にしている。それで通るから仕方がない。此方は後生大切と必ず七時までに駈けつけるけれど、社長が応接間に現れるのは八時過だ。