Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lisez キャラコさん de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 767 caractères · 54 écrans
「そういう君だって、あのひとに別れたくながっている」
「そんなわかりきったことを、口に出していうやつがあるか」
三枝氏が、低い声で笑った。山下氏がつづいて、つぶやくような声でなにかいったが、それは渓流の音にけされてキャラコさんの耳にはとどかなかった。
キャラコさんは、沈んだこころで小屋へ帰ってくると、入口の柱に背をもたせて長いあいだ立っていた。じぶんの沈んだ顔いろを原田氏や黒江氏に見られてはならないと思ったからである。落胆が激しかったので、こころをとりなおすのにだいぶ時間がかかった。
納得のゆくまで充分考えたすえ、気を取りなおした。四人の剋苦の精神のほうが、金の何層倍も尊いのだと思った。
「これだけやれば充分よ、勝ったもおなじことだわ」
夕食がすむと、山下氏が、率直に切り出した。
「いままで嘘をいっていたが、こんどもやはり駄目だった。この一年の間、われわれがどんなに努力したか、お互いによく知っているのだから、これ以上、しちくどくいう必要はないだろう。あす、山をおりて東京へ帰るつもりだが、われわれの仕事はこれで終わったというわけではない。鉱山のほうはうまくゆかなかったが、われわれの研究のなかで、この失敗をとりかえすことにしよう」