Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lisez キャラコさん de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 043 caractères · 56 écrans

Aozora Bunko

なんだかしら、最近目だって沼間氏の家族は愛想をよくする。『社交室』では、姉の方だろうか妹の方だろうかと、たいへん気をもんでいる。越智氏は姉娘の槇子の方にも妹娘の麻耶子の方にも等分に愛嬌をふりまくので、どうにも掴まえどころがないのである。

だれもあいづちをうってくれないので、越智氏は間のびのした薄手な顔を隣りへふりむけて、

「じつにもって、たいした才能です」

これでもか、というような大きな声でくりかえした。

越智氏の隣りに坐っているのは猪股氏である。もうそろそろ初老の年輩だ。粋ではないが、このホテルの滞在客中でだいいちの金持である。この節、もっともあてた軍需工場の持主で、すくなくとも五六百万は動くまいという社交室の測定である。教養のない実業家のタイプにありがちな、粗野で、ずぶとそうな印象を与えるのは、あぐらをかいたような鼻と獅子噛んだ厚い唇からくるので、内実は、臆病なほど気が優しいのだと取沙汰されている。

猪股氏は、不意をつかれてヘドモドしていたが、つぶやくような声で、

「いや、まったく……。まるで、オペラですな」

と、意味のないことをいった。せいいっぱいの智慧をしぼったところである。