Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ズラかったしんきち

ズラかった信吉

宮本 百合子

Lisez ズラかった信吉 (ズラかったしんきち) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 54 656 caractères · 110 écrans

Aozora Bunko

大きい楡の葉はもう黄色くなりかけている。

日本だったら、カナカナの盛に鳴く刻限、蝉もいないモスクワの中庭で、信吉はテーブルによっかかって、ペーチャの手許を眺めている。

ペーチャの親父は荷馬車ひきだ。おふくろはチブスで死んでいない。ピオニェールだ。ペーチャは赤い大判の紙をテーブル一杯にひろげ、そこへ鉛筆で作図しちゃ、鋏で切りぬきをやっている。

「……どうだったい? 魚とれたかね?」

信吉がきいた。

「余りいやしなかったんだよ、その河には。……でも一遍魚スープをこさえたよ」

モスクワ各区がそれぞれピオニェールの夏の野営地をもっている。ペーチャはソコーリスキー区の野営に一月行って、つい二三日前帰って来たばっかりだ。

「何匹とった」

「二匹」

「どんな奴?」

「……この位だ」

すっかり日にやけた雀斑のある手で、テーブルにころがってる鉛筆を示した。

「それを何人で喰ったのさ」

「十人ぐらいいたヨ」

信吉は思わずふき出した。

「どうしサ、みんなたっぷり汁をのんだよ!」

顔もあげず、ペーチャは赤い紙をきりぬきつづけてる。だんだん人間の横顔らしいものがハッキリして来た。

「――レーニンだね」