Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゼーロン

ゼーロン

牧野 信一

Lisez ゼーロン de 牧野 信一 (まきのしんいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 533 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

そして道端の青草を見出すと、乗手の存在も忘れて草を喰み、どんなに私が苛立っても素知らぬ風を示すに至った。

私は、訝しく首を傾け悲しみに溢れた喉を振り搾って、

「ゼーロン!」と叫んだ。「お前は僕を忘れたのか。一年前の春……河畔の猫柳の芽がふくらみ、あの村境いの――」

私は一羽の鳶が螺旋を描きながら舞いあがっている遥かの鎮守の森の傍らに眺められる黒い門の家を指差して、同じ方角にゼーロンの首を持ちあげて、

「強欲者の屋敷では桃の花が盛りであった頃に、お前に送られて都に登ったピエル・フォンの吟遊詩人だよ。」と顔と顔とを改めて突き合せながら唸ったが、私の腕の力がゆるむと同時に直ぐ項垂れて草を喰み続けるだけであった。黒い門は私の縁家先の屋敷で私は屡々ゼーロンを駆ってそこへ攻め寄せた事があるので、こう云ってかなたを指差したならばさすがの驢馬も往時の花やかな夢を思い出して息を吹き返すであろうと考えたが無駄になった。私は、その洞ろな耳腔に諄々と囁くことで驢馬の記憶を呼び醒そうとした。

「ゼーロン。お前は、強欲者の酒倉を襲って酒樽を奪掠するこの泥棒詩人の、ブセハラスではなかったか! あの時のようにもう一度この鬣を振りあげて駆け出してくれ。