Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ニイチェについてのざっかん
ニイチェに就いての雑感
萩原 朔太郎
Lisez ニイチェに就いての雑感 (ニイチェについてのざっかん) de 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 938 caractères · 14 écrans
できないのである。人々は各※(二の字点、1-2-22)ニイチェの多様質の宇宙の中から、夫々の部分をとつて自家の食餌にしてゐる故、見方によればそのすべてがニイチェズムでもあるけれども、同様にまた、そのすべてがニイチェズムでないのである。甚だしきは独逸近代の軍国主義さへも、ニイチェの影響だと見る人がある。それによつてアメリカ人は、世界大戦の責任者をカイゼルとニイチェとの罪に帰した。
日本に於けるニイチェの影響は、しかしながら皆無と言ふ方が当つて居る。日本の詩人で、多少でもニイチェの影響を受けたと思はれる人は、過去にも現在にも一人も居ない。(生田春月だけが、少しばかりその影響を受けてた。)況んや小説家の中にも皆無である。ただ一人、僕の知る範囲で芥川龍之介が居た。彼は自殺の一二年前から、その作品の風貌を全く変へたが、これがニイチェの影響であつたことは、その「歯車」「西方の人」「河童」等の作品によく現れて居る。且つ彼はそのエッセイにも、ニイチェの標題をそのままイミテートして「文芸的な、あまりに文芸的な」と書いた。特に「歯車」と「西方の人」の中には、ニイチェが非常に著るしく現れて居り、死を直前に凝視してゐたこの作者が、如何に深くニイチェに傾倒して居たかがよく解る。