Classiques japonais avec furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lisez ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 137 caractères · 26 écrans
の食堂において、聖ジャンの祭日にちなんだ大饗宴があると披露されたにより、空腹い腹をかかえ、食堂の長椅子にたぐまって片唾をのむところ、薦延数時間、ようやく十時真近になって、蓋付きのスウプ容れと三人前の食器を、大いなる銀盆にのせて運び出して来た公爵、ルイ十五世ふうの卓の上にそれを適当に配置してから、
「私はこれから、次の肉皿の仕度にかかりますから、もう少々お待ちを願いましょう」といって、脚の一本ない古風な翼琴のそばへ行き、ものしずかにブラアムスの「子守歌」を弾き始めた。
「肉皿には鶫を差し上げようと思っているのですが、実はその鶫なるものはまだ糸杉の頂の巣の中で眠っているのです、なにしろね、鶫なんてやつは目覚いからこうやって、子守歌でも聴かせて、ぐっすり眠らせておこうと思うのです」
子守歌は不可思議極まる装飾音の中で跳ね廻り、随所で奔放自在な転調を行ないながらようやく最後の静止音までたどり着いた。
すると公爵は、上品な白髪頭の真中を見せて一揖し、
「ほどなく肉皿も参りましょう。では紳士ならびにご令嬢、どうぞお席へ、前菜でも始めることに致しましょう」と威儀を正して披露した。