Classiques japonais avec furigana
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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
Lisez ピストルの使い方 (ピストルのつかいかた) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 100 caractères · 78 écrans
掻廻わしていた。
「……松露がありますか、こんな処に。……」
「ありますかって、貴方、ほれ、これでがす。」
ころ、ころ。
「ほれ、――諸国、旅をして存じております。砂浜から、ひょっこりひょっこりと出る芋づるの奴より、この……山の松露が、それこそ真に香しい露の凝ったので、いわば松の樹の精根でがしてな。」
「松露を掘ってるようじゃ、法界屋、景気が悪うございますね。」
男のつれは笑ったが、
「あなた幾干金かお遣んなすったの、御祝儀を。」
と女のつれが云ったのに、多津吉はついうっかりでいたのを心着いた。――竜胆を手折ってくれたその振袖は、すらすらと裳に薄を掛けた後姿が見えて、市松大柄な年増は、半身を根笹に、崖へ下りかかる……見附かった山の幸に興じたものであろう。秋の山は静に、その人たちの袖摺れに、草のさらさらと鳴るのが聞こえて、釜底帽子の親仁も、若い娘たちも、もう山懐に深かった。
「そこらをぶらつくうちにはまた出会いましょう。あの扮装です……見違えはしませんから、わざわざ引返すのも変ですから。……」
だのに、それから、十歩、二十歩とはまだ隔らないうちに、目の下の城下に火が起った――こういうと記録じみる――一眸の下に瞰下ろさるる、縦横に樹林で劃られた市街の一箇処が、あたかも魔の手のあって、森の一束を蒼空へ引上げたような煙が濛々