Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

Lisez フレップ・トリップ de 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 698 caractères · 293 écrans

Aozora Bunko

汽車は駛る。

鷲を見つけてから、私の心は閑かになった。

私は海を、遠い荒波を、通り過ぎる目の前の浜の小石を眺めている。

汽車は今、ひたひたと湛えた潮の、つい汀を快い左右動を楽しみながら駛ってゆく。

韃靼海の八月のやや赤みかけた円い太陽が、まだ水平線から、うち見に四、五尺の空に輝き輝きしている。だがその下の遥かの遥かの寒い霞の曇りはどうだ。向うの何処かに沿海州。

荒れてる、荒れてる。外は飛沫が凄まじいが、三四五六丁の此方はまたとろりとした一面の閑かさで、腐れたようにも濁っている。劃っているのは飛び飛びの青黒い岩の弧線である。

あ、鳥がいる。

飛び飛びの岩のひとつひとつに、どれもが同じ北の一方を向いて、鴉よりはやや小さい、鶺鴒よりもやや大きい、南国の鳥とも違った、何か寒げな、尻尾の動く、嘴の細そうな鳥の姿である。

外の波濤は穂がしら白く、内のとろみは乳黄で、またやや光った銅色で、閑かなようでもどうにもならない澱みがある。

澱みは凡てが昆布である。

子供がひとり、つッと此方を見て佇った。浜辺は昆布が散らかってる。

昆布が海を腐らしている。飛び飛びの岩の弧の線まで。