Classiques japonais avec furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lisez フレップ・トリップ de 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 698 caractères · 293 écrans
もっと違った意味で寂しがりたい私の心もちはすっかり裏切られた。
全く私は北海道の旅館といえば、もっと暗鬱で、女中などはアイヌ見たようなのがいて、言葉も碌に通じはしまいと、迂闊にも思っていたのだ。それがまた非常な興味を予想させられたものだ。これは幼年時代の恣な童話的空想がそのままに頭の何処かに残っていたらしく思える。
二十一、二の頃、そうだ、私が石川啄木に逢ってまだほんの二、三度目の時だったと思う。
「君のお国はどちらです。」と私が訊いたら、
「盛岡の在です。」と彼は答えた。
「そうですか、奥州や北海道は、僕の国では鬼でもいそうなところだと思っていますよ。五、六百里も北だからね。」それはほんの何の気もなく、むしろ親和の心で私は微笑していったのが、それが彼の性来の癇癖にきつく障ったらしい。私には答えないで、すぐに、隣りにいる人に向って、
「I君、君も鬼のいる国の人だね。」
と両肩をスッと怒らしていった。それで私は吃驚して、
「君、君、僕の国だって熊襲だからね。」
と大真面目であった。
「じゃあ、鬼の一種だね。」
「うむ、そうだよ、君の方から見れば鬼の一種だろう、やっぱり。