Classiques japonais avec furigana
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ヴィヨンのつま
ヴィヨンの妻
Lisez ヴィヨンの妻 (ヴィヨンのつま) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 363 caractères · 112 écrans
「毛布は、よせよ」
「ケチだなあ、お前は」
とさらにしつこく、ねばろうとしていた時に、女房はお膳を運んで来た。
「やあ、奥さん」と矛先は、そちらに転じて、「手数をかけるなあ。食うものなんか何も要りませんから、さあここへ来てお酌をしてください。修治のお酌では、もう飲む気がしない。ケチくさくて、いけない。殴ってやろうか。奥さん、俺はね、東京時代にね、ずいぶん喧嘩が強かったですよ。柔道もね、ちょっと、やりました。いまだって、こんな、修治みたいなのは一ひねりですよ。いつでもね、修治があなたに威張ったら、俺に知らせなさい。思いきりぶん殴ってやりますから。どうです、奥さん、東京にいた時も、こっちへ来てからも、修治に対して俺ほどこんな無遠慮に親しく口をきける男は無かったろう。何せ昔の喧嘩友達だから、修治も俺には、気取る事が出来やしない」
ここに於いて、彼の無遠慮も、あきらかに意識的な努力であった事を知るに及んで、ますます私は味気無い思いを深くした。ウイスキイをおごらせて大あばれにあばれて来た、と馬鹿な自慢話の種にするつもりなのであろうか。
私は、ふと、木村重成と茶坊主の話を思い出した。