Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひとつみのきもの
一つ身の着物
壺井 栄
Lisez 一つ身の着物 (ひとつみのきもの) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 453 caractères · 11 écrans
」
少しがっかりしているような正子の機嫌をとるように私はいった。
「疲れたでしょお母さん、おんぶして肩はらなかった? もみましょうか。」
きゅうんとこたえて私はいそいで次の間にゆき、座ぶとんの隅かけに寝かせつけた。
「何しろ二十年ぶりだもの、肩もはるさ。」
正子はやはりついてきて、寝かせ方をみている。
「あしたから、私がするわ。」
「ありがとう。」
私はもうかくそうとせずに、正子の前で目をしばたたいた。
「あとでね正子、右文のおべべを縫うの手伝っておくれよ。何にも着がえもってないのよ。」
「あら、なんにも? 一枚も?」
「そう、これから仕度にとりかかるという季節だったから、無理もないさ。去年のものは駄目だもの。小さくて、その上スフや人絹だものね。」
「袷なの。」
「ああ、袷もじゅばんもよ。一つ身を又縫うなんてことがあろうとは、思わなかったね。」
「これも二十年ぶり?」
「そうとも。でもね、赤ん坊の着物ってものは……」
のどがつまって切れた言葉を、私はあわててつぎ足した。
「たのしみなものさ。」
縫っている中に、だんだん愛情とからみついてきた正子の小さい時のことを思い出したのである。