Classiques japonais avec furigana
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いちにんならじ
一人ならじ
山本 周五郎
Lisez 一人ならじ (いちにんならじ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 312 caractères · 21 écrans
業盛も父の気性を受けたなかなかの武将だったが、さすがに晴信の軍配には敵しがたく、ほとんど全滅のかたちで敗れ、彼また自ら刎ねていさぎよく死んだ。
大助が発見されたのは、戦が終って、馬寄せの法螺が鳴りわたったあとのことだった。高折又七郎が思いだして、四五人の兵といっしょにやってきた。彼は失神していたが、助けだされるときの痛みで気がついたとみえ、二人の兵の肩にかかるとき「済まないな」と云った。その足は太股の中ほどから下へかけて布切れのように潰れていた。大助はそれを手で叩いてみたが、橋の上へあがるのを待って、
「これは切り放すよりしようがないな」
と呟いた。
「そうだ、切り捨てるより仕方があるまい、……」
又七郎がそう云って頷いた。
「おれが切ってやろう」
「お願い申します」
大助は草摺をひきあげた。兵たちが潰れた足を取って支えた。又七郎は一刀でみごとにそれを斬り放した。そしてみずから傷口を縛ってやりながら、
「……ばかだぞ栃木、あれを見ろ」
と傍らを顎でしゃくった。
「あすこに丸太が転げているではないか、あれを楔にかえばなんの事はなかったのに、片足を無くしてどうするんだ」