Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いちにんならじ
一人ならじ
山本 周五郎
Lisez 一人ならじ (いちにんならじ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 312 caractères · 21 écrans
「そのもとは祝いの席でこのたびの合戦に生きて帰りたいと申したそうだが、それは事実か」
「……はあ、帰りたいとは申しませんが、生きてまいりたいとは申しました」
「それはどういう意味なんだ」
舎人助はにがい顔をしてもういちどぐいとねめつけた。大助は眼をしばしばさせたが黙っていた。
「およそもののふたる者が戦場に臨む以上、まず生きて還らぬ覚悟をかためるのが第一ではないか、しかもこのたびは味方も敵も決戦を期している、七年にわたるせりあいをこのたびこそ勝って取ろうというのだ、将も兵もない、全軍が命を抛って戦う決意がなくてはならぬ。……そのもとは仮にも二十人頭として、さようなみれんな心得でよいと思うか」
「……はあ」
大助は困ったようすで、骨太の逞しい肩をすぼめ、膝の上でぎゅっと拳を握りしめた。
「いったいどういう考えでそんなことを云ったのだ、なにか思案があったのか」
舎人助はたたみかけてそう訊いた、大助はいよいよ閉口したとみえて、思わず、「云わなければよかった」
と呟いた。
「なに、なんだと……」
「いえ、実は……」
彼は顔を赤くして、坐り直して、せんかた尽きたとでもいう風に云った。