Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いちにちいっぴつ

一日一筆

岡本 綺堂

Lisez 一日一筆 (いちにちいっぴつ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 151 caractères · 7 écrans

Aozora Bunko

今日の眼を以て、この台場の有用無用を論じたくない。およそ六十年の昔、初めて江戸の海にこれを築いた人々は、これに依て江戸八百八町の人民を守ろうとしたのである。その当時の徳川幕府は金がなかった。已むを得ずして悪い銀を造った、随って物価は騰貴した、市民は難渋した。また一方には馴れない工事のために、多数の死人を出した。かくの如く上下ともに苦みつつ、予定の十一ヵ所を全部竣工するに至らずして、徳川幕府も亡びた、江戸も亡びた。しかも江戸の血を享けた人は、これに依て江戸を安全ならしめようと苦心した徳川幕府の当路者と、彼ら自身の祖先とに対して、努力の労を感謝せねばなるまい。

今日は品川荒神の秋季大祭とかいうので、品川の町から高輪へかけて往来が劇しい。男も通る、女も通る、小児も通る。この人々の阿父さんや祖父さんは、六十年前にここを過ぎて、工事中のお台場を望んで、「まあ、これが出来れば大丈夫だ」と、心強く感じたに相違ない。しかもそれは殆ど何の用を為さず、空しく渺茫たる海中に横わっているのである。

荒神様へ詣るもよい。序にここを通ったらば、霎時この海岸に立って、諸君が祖先の労苦を忍んでもらいたい。