Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
Lisez 一本の花 (いっぽんのはな) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 709 caractères · 55 écrans
「本当に。――大丈夫でなくたって、大丈夫と思っちゃった」
「何のことさ、え? 何のこと?」
「いいのよ、安心して」
「着いたら電報打つけど、若し何かあったら」
何心なく云いかけ、驚いて止めた拍子に、幸子は赤い顔をし、口に当てた掌のかげで舌を出した。朝子は、
「莫迦ね」
薄笑いしたが、段々おかしく自分もしまいに声を出して笑った。幸子は習慣的に、大平に頼めと云いかけたのであった。
列車が動き出す、万歳ァーイという声がプラットフォームの二箇所ばかりで起った。
カーブにつれて列車が蜒り、幸子の振る手が見えなくなってから、朝子は歩き出した。すると、人ごみの中から、
「――しばらく」
太いフェルト草履の鼻緒をそろえて、挨拶した者があった。
「まあ――」
朝子と、同級の中では親しい部の富貴子であった。
「来てらしたの? この汽車?」
富貴子は、ずば抜けて背の高い肩の間へ、首をちぢめるような恰好をした。
「母の名代を仰せ付かっちゃったの」
車寄せへ出ると、
「あなた、真直ぐおかえり?」
洒落た紙入れを持ったクリーム色の手套のかげで、時間を見ながら富貴子が訊いた。
「――何だかこのまんまお別れするの厭ね、……銀座抜けましょうか」