Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いっとう
一灯
Lisez 一灯 (いっとう) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 052 caractères · 7 écrans
」と強がったのである。
「そうでしょうか。」
「そうかなあ。」嫂も、私も、てんで信用しなかった。
「泣きませんでした。」兄は、笑いながら主張した。
その兄が、いま、そっと眼鏡をはずしたのである。私は噴き出しそうなのを怺えて、顔をそむけ、見ない振りをした。
兄は、京橋の手前で、自動車から降りた。
銀座は、たいへんな人出であった。逢う人、逢う人、みんなにこにこ笑っている。
「よかった。日本は、もう、これでいいのだよ。よかった。」と兄は、ほとんど一歩毎に呟いて、ひとり首肯き、先刻の怒りは、残りなく失念してしまっている様子であった。ずるい弟は、全く蘇生の思いで、その兄の後を、足が地につかぬ感じで、ぴょんぴょん附いて歩いた。
A新聞社の前では、大勢の人が立ちどまり、ちらちら光って走る電光ニュウスの片仮名を一字一字、小さい声をたてて読んでいる。兄も、私も、その人ごみのうしろに永いこと立ちどまり、繰り返し繰り返し綴られる同じ文章を、何度でも飽きずに読むのである。
とうとう兄は、銀座裏の、おでんやに入った。兄は私にも酒を、すすめた。
「よかった。これで、もう、いいのだ。」