Classiques japonais avec furigana
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みっつのひふん
三つの悲憤
豊島 与志雄
Lisez 三つの悲憤 (みっつのひふん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 748 caractères · 18 écrans
」
阮東はそういいすてて、自分の室へはいってゆきました。
その夕方、意外な通達が人々を驚かせました。范志清未亡人中敏は、これから阮東夫人になるというのでした。而もその晩、葬儀に引続いたその晩に、結婚の宴が催されました。
なにか名状し難い宴席でありました。そこに集った数十名の人々は、静かに飲食をしました。阮東の一身から或る強烈なものが発散して、一同はそれに気圧されてるようでありました。けれど彼は、見たところ無心そうに、范志清の一子を胸に抱いて、その子をあやして楽しんでるらしい様子でした。中敏がしとやかに傍に侍って、時々子供を抱き取りました。
そして最後の乾杯をする時、阮東は恐ろしい声で叫びました。
「わが悲しみと憤りとのために。」
それはもはや悲しみや憤りを超えた沈痛なもので、一同はぞっと水を浴びたような気がしました。
その次の日から、阮東の行動は勇猛果敢を極めました。あの五名の若者が、常に彼の身辺に附添っていました。彼は村々を次第に自分の支配下に編入し、民兵団の兵員を増加し、武器弾薬を何処からか夥しく輸送してきて蓄え、遠方へまで匪賊討伐に出かけました。