Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さんじゅうちゅうがえりのき

三重宙返りの記

海野 十三

Lisez 三重宙返りの記 (さんじゅうちゅうがえりのき) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 000 caractères · 4 écrans

Aozora Bunko

「はい、乗りましょう」

といって、オーバーの釦に手をかけた。これが最初の宙返りであった。意志というか覚悟というか、それの宙返りであった。決意してしまえば、元々好きなことなんだから、とたんに、わがからだはもうふわっと空に浮んだようだった……。

機は約千五百メートルにとびあがった。

はるかな地上には煙霧が匐い、夕陽はどんよりと光を失い、貯水池と川とだけが、硝子のように光っていた。と、突如、からだがぐーっと下に圧えられた。機は奇妙な呻りをたてはじめた。いよいよ始まった、宙返りが……。

宙返りをしていることは、はっきり分っているくせに、「自分は今、本当に宙返りをやっているのかしら、夢を見ているのではないか」という疑念がしきりと湧いた。

――そのとき、虚空と大地とが、まるで扁平な壁のように感じられた。空は湖のようだ。ぐうーと水平線があがって、上から巨大なる島が下りてきた――と思ったら、それは島ではなく、わが地球であったのだ。芝居の背景が、ぐるぐるまわっているような感じでもあった。僕は、ひたすら錯覚の世界を追っていたのだ。

はげしい横転の始まった瞬間には、僕の身体は、機外においてけぼりにされたように感じた。