Classiques japonais avec furigana
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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
Lisez 中谷宇吉郎集 第八巻 (『ケプロン・くろだのこうそう』について) de 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 85 890 caractères · 178 écrans
そのうちの一人に、K村のYというおばさんがいた。山頂へ登る足場として、そのY家へは、始終立寄っていたが、そこでいろいろ北海道独特のものを御馳走になった。そのうちで、一番印象に残っているものの一つに山うどがある。
北海道の山うどは、少しかおりが強すぎるくらいで、香気の方では全く申し分がない。しかし一面その野性味が勝ちすぎて、少しあくどいのが欠点である。ところがYのおばさんのところで時々出してくれた山うどは、東京の一流の料理店で出すうどに、北海道の山の香気だけを添加したような趣きがあり、味もかおりも、全く申し分のないものであった。
こういう山うどは、北海道に二十年も住んでいて、その時まで食べたことがなかった。それである日、おばさんに「このうどはどこで採ってくるのですか」ときいてみた。そしたら、おばさんは我が意を得たりとばかりに、「先生はこのうどが好きですか。これは私の自慢の品なんです。実は山うどをとってきて、畑で作ってみたが、どうも香気が抜けるので、近所の山を拓いて、そこに植えてみたら、こういううどが出来たんです」と、種あかしをしてくれた。
考えてみると、もう十年近くも昔の話である。