Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かずえはいそがしい
主計は忙しい
山本 周五郎
Lisez 主計は忙しい (かずえはいそがしい) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 315 caractères · 37 écrans
主計は眼をあげて云った、「――荻江節を教える園次と申す者の家です、半年ほどまえよりかよっておりますが、これは唄を習うためで、そのほかにはなんの意味もございません」
「なんでまた唄などを習うのだ」
「御承知のとおり私はおちつきのない性質で、自分では努めて起居にゆとりを持とうと思うのですが、生得と申しましょうかなかなかそれが身に付きません、芸ごとは心をやしない気を寛くすると聞きましたので、柄にも合わず勘も悪くて、半年してもまだ一つの唄があがらないありさまですが、これも修業のひとつと思ってかよっているのでございます」
市郎左衛門はじっと主計を見まもった。愛している門人である、もちろん深く信じてもいた、その愛と信とが強かっただけに、却ってそんな中傷にも肚を立てるのだ。そのうえながい病弱で心も躯も衰えている、耐え性がなくなってもいたことが、いま主計の弁明と彼のまぎれのない眼を見てはっきりわかった。
「それにしてもいったいなに者が、かような物を先生にごらんに入れたのでしょうか」
「それは聞くな、わかればよいのだ」
「いやそれでは済みませぬ、ただごらんに入れただけならともかく、袂から落ちたなどと云い拵えるのは――」