Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふたつのいえをつなぐかいそう

二つの家を繋ぐ回想

宮本 百合子

Lisez 二つの家を繋ぐ回想 (ふたつのいえをつなぐかいそう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 480 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

と云って、立ってしまった為、一層、傷けられて感じ、絶望したように見える。

自分は、

「それじゃあ、左様なら。おやすみなさいまし」

と云って、下へ降りた。

此で、少くとも当分、又此処へは来られないなどとは、自分に嘘にも真個にされなかった。而も、それが事実なのだ。

帰る道々、自分は、余り、意外な大きな事が突然起ったので、あの、青桐の黒い梢の見える明るい二階の縁側も、激しく声をあげて泣いた自分も、皆、夢の中のことのような心持がした。事に関しては、麻痺してぼんやり平気になったように感じた。

が、床に入り、四辺が静になると、自分は、激しい悲しみに捕われて、気が遠くなるほど歎いた。

憎い、どうでもよい者に、誰が此程涙を流そう。母よ。貴女も、今、そちらの静かな闇の中で、斯様な悲しみに打れて居らっしゃるのですか。何と云うことだ。辛いことだ。然もそれが避けられない――。彼の家で育った二十幾年かが、津浪のような記憶で、自分の感傷を溺らせた。

翌日、自分は心が寥しく病んだようになり、一日床についた。

その夜から、十一月の四日迄、まる一箇月、自分は到頭林町に足踏みしなかった。