Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lisez 二つの庭 (ふたつのにわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 492 caractères · 389 écrans

Aozora Bunko

落ちつかない気持で顔をそむけながらのってゆくうちに、伸子は何年もの昔、まだ十六七だった自分が、やっぱりこういう焦立たしい西日を顔にうけながら、牛込のある町を女中と一緒に歩いていたときのことを思い出した。

それはまだあかるい夏の夕方であった。酒屋の店さきなどに打ち水がされている牛込のせまい通りを、白地に秋草の染めだされた真岡の単衣を着て、板じめちりめんの赤い帯をしめ、白足袋をはいた伸子が歩いていた。伸子の父の年下の友人で、稲田信一という建築家があった。その人は、江戸ッ子ということを誇りにしていた。角ばって苦みばしり、眼のきつい顔に、いくらかそっ歯で、せまい額の上に髪を粋な角刈めいた形にしている人であった。牛込に住んでいた。そこへ使いにやらされた。

母が大きく結んでくれた赤い帯に、こわばった真岡木綿の単衣、うしろにすこしはねのあがった白足袋という自分の身なりに、伸子は本能的な気に入らなさ、野暮くささを感じながら、その感じで神経質になりながら、行儀よく、若い娘のぎごちなさで、稲田の客室に通された。切下げの老母が出ての、そつのない応待に、伸子は、いいえとか、そうでございます、とか短く答えた。