Classiques japonais avec furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lisez 二つの庭 (ふたつのにわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 492 caractères · 389 écrans
絶望はいっそう深まり、伸子は新しく声をあげて泣いた。
古びて木目のたった縁側で泣いていた自分のその声のなかから、伸子はいま、たくさんの女の泣く声がきこえて来るように感じた。
十四
電話口に出た女の声は遠くたよりなくて、伸子が、
「もしもし、佐々ですか?」
と力を入れてきくと、
「はア」
と答えた。
「わたし、よ。伸子ですが、いらっしゃる?」
とききかえすと、また、
「はア」
と返辞した。
「ね、お母様いらっしゃるの? いらっしゃるなら、ちょっと電話口まで……」
「はア」
というから、伸子はきき耳を立てて待った。佐々の家では、多計代たちだけ卓上電話を使っていて、そちらに連接をきりかえるとプツッとスイッチのはいる音がする。伸子はきき耳を立ててその音がするのを待った。が、受話器の中では変化なく電流が響き、どこかの通話の声がしているばかりである。念のため、
「もし、もし」
といってみたらば、同じ声が、
「はア」
といったので、伸子はびっくりした。
「もしもし、あなた、だれ?」
「…………」
「ききにくいなら、誰かほかの人に出ておもらいなさいよ」
引っこんだらしく、ややしばらくして、こんどは、