Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lisez 二つの庭 (ふたつのにわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 492 caractères · 389 écrans
そういう髪を結ったばかりの多計代の指には、ところどころ黒チックのよごれがついていた。耳にも掠ったような黒さが見える。伸子は、そこにあったちり紙で、母の耳の上についている黒いチックのあとを拭いてやった。
「前崎、よかったでしょう? この間、ちょっと事務所でお父様にお会いしたとき、随分よさそうにいっていらした」
「こないだうち、毎晩、なにをとっていたのか沖にずらりっと漁火が見えてね、ほんとにあの景色はきれいだった」
伸子は、複雑な意味をこめ、
「行ってよかった?」
ときいた。多計代は、それをごくあたりまえにうけて、
「例によって三四日眠れなかったけれど……いまあっちはいいよ。ああそういえば、伸ちゃん製材所のあったの知っているだろう? カギ半の裏に……」
ふるい東海道に面し、海を見はらす小高いとこにあるカギ半は前崎の雑貨店で、炭や味噌醤油もあきなっていた。
「覚えているわ――みかん畑のそばの」
「あすこに火事があったよ」
「まあ珍しい……海の水かけて消した?」
「村の手押しポンプが出たりしてね、びっくりした」
多計代は、櫛のしまつをして抽斗をしめると、束髪のまんなかにいつもさしている鼈甲にガーネットのついた飾りピンをとり、もんだ紙でそれをこまかに拭いた。