Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふたつのみち

二つの途

豊島 与志雄

Lisez 二つの途 (ふたつのみち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 102 caractères · 104 écrans

Aozora Bunko

彼女は病人に同情した。木下か信子かが病室に居る時には、一種の反感から隅に引込んで澄していた。然し病人一人になると、心から看護を尽した。苛ら立っている病人の感情に、出来るだけ障るまいとした。夜も遅くまで起きていた。

木下と信子とが、病人の容態は次第によくなってゆくように考えていた間に、高子は容態が却って険悪な方に傾いてゆくのを見て取った。前後二ヶ月に亘る病気に弱りはてた身体の中に、心臓の衰弱と精神の興奮とが続いていった。一方では、心臓痲痺を起す恐れがあり、一方では脳症を起す恐れがあった。その最中に彼は無理に起き上ろうとした。彼の身体にとっては、壮者には想像だに及ばないほどの努力であった。急に熱が三十九度二分に上った。それは一時的の熱ではあったが、心臓と脳とには大なる打撃であった。

初めから病人を診ていた本田医学士は、木下を影に呼んで云った。

「心配なことはありませんが、今が大切な時期ですから、出来る限り安静にさせなければいけません。」

木下は黙って頭を下げた。

本田医学士は、吸入を一切止さして、少くとも三時間おき位には湿布を取り代えるように命じた。それから、一日に四回の注射を命じた。