Classiques japonais avec furigana
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ふたりまちやっこ
二人町奴
国枝 史郎
Lisez 二人町奴 (ふたりまちやっこ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 555 caractères · 19 écrans
声を掛けると美しい女や男達、ドッと喜びの声を上げ、すぐに続けて賑やかな囃、それからだしを引き出した。無事に寄進が出来たのである。
見ていた群集も賞讃し、
「釣鐘様! 弥左衛門様!」
「釣鐘の親分! 釣鐘弥左衛門!」
――爾来人々弥左衛門を、釣鐘弥左衛門と称したが、それ程の釣鐘弥左衛門も、兄分と立てなければならなかったのは、緋鯉の藤兵衛という町奴であった。
4
ある日と云ってもずっと後だ――寛文年間のことである。
「兄貴おいでか」と云いながら、訪ねて来たのは釣鐘弥左衛門。
「これは釣鐘、珍らしいの」
こう言ったのは緋鯉の藤兵衛、長火鉢の前に坐っている。
向かいあって坐った釣鐘弥左衛門、今日は一向元気がない。
そういえば緋鯉の藤兵衛にも、さっぱり元気がないのである。二人、しばらく物も云わない。
「近頃浮世が面白くないよ」
やがて云ったのは弥左衛門である。
「うん、そうだろうな俺もそうだ」
緋鯉の藤兵衛もものうそうである。
「長兵衛親分がああなって以来、俺ア眼の前が真っ暗になった」
「相手の水野一統は、ピンシャンあの通り生きていて、なんのお咎めもないんだからなあ」
これが弥左衛門には心外らしい。