Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Lisez 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 489 caractères · 77 écrans
云う迄もなく、その時胎龍が唱えていた『秘密三昧即仏念誦』――それは、厨川君が平素から熟知していた。大体、経文には火に関する文字が非常に多いのだから、必ずしもそれに限った事はなかっただろうが、その『秘密三昧即仏念誦』は、多分暗誦出来る程に耳慣れがしていたに違いない。それで、線香花火を燃やすに適切な時間なども、予め錯誤せぬよう、目的の一節を基礎に算出する事が出来たのだったよ。所で、愈それが到来すると、俄然胎龍の悲壮な恍惚が絶頂に突き上げられ、完全に現実から離脱してしまった。と同時に兇器が下されたのだよ。で、その一節と云うのは、経机の上で開かれていた『五障百六十心等三重赤色妄執火』と云う一句なので、その唱句が終った刹那に、突如胎龍の頭上に赤色妄執火が下ったのだ。と云うのは、背後から厨川君が例の赤い筒提灯を胎龍の頭上に被せて、それを次第に縮めて行ったからだ。胎龍のその時の状態では、てんで識別出来よう道理がない。そして、提灯の縮小につれて、妄執の火が次第に濃くなって行く。勿論胎龍はその刹那に火刑――とでも直感した事だろうが、それを反覆する余裕もなく、ひたすらこの恐怖すべき符合のために、脆弱な脳組織が瞬時に崩壊してしまったのだ。