Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひとのくに
人の国
豊島 与志雄
Lisez 人の国 (ひとのくに) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 761 caractères · 16 écrans
「さあ猿蟹合戦だ。わしは臼だぞ。」
子供達はきゃっきゃ云って逃げ廻った。
膝小僧がともすると覗き出しそうになるので、両手で着物の前を押えて、ぴしゃんこに坐って一息ついていると、久保田さんはふと、藁で分厚に編んだその深編笠の中で、白々とした気持になった。
「こんなに調子に乗って騒いでいて、一体どこまでいったらおしまいになるのかな。」先刻から妙に眼を輝かしてきた夫人と姪、微笑の合間にちらと見合しているらしい洋太郎とお清、それが両面からじっと自分を窺ってるようだった。それから子供達は……。「いや、子供達の喜び方はどうだ!」
そして久保田さんはまた、臼になって膝頭で歩き出した。
「此度は僕が臼だ。僕だよ。」と叫んで六歳の子が飛びついてきた。
「よしよし。」
すっぽりと御鉢入れをぬいで、頭についてる藁屑を払い落していると、お清と洋太郎とがまたちらと目配せしたようだった。久保田さんは肩をひょいと落したが、一寸小首を傾げながら洋太郎に云った。
「お前はこういう句を知っているか。ええと……子供の如くならずんば……神の国に入るを得ず……。」
洋太郎は落付払った微笑を洩した。