Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いまどしんじゅう
今戸心中
広津 柳浪
Lisez 今戸心中 (いまどしんじゅう) de 広津 柳浪 (ひろつりゅうろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 688 caractères · 74 écrans
朝の寒さはひとしおである。西向きの吉里が室の寒さは耐えられぬほどである。吉里は二ツ三ツ続けて嚏をした。
「風を引くよ」と、善吉はわれを覚えず吉里の枕もとに近づき、「こんなことをしてるんだもの、寒いはずだ。私が着せてあげよう。おい、吉里さん。吉里さん、風を引くよ」
吉里は袖を顔に当てて俯伏し、眠てるのか眠てないのか、声をかけても返辞をせぬところを見ると、眠てるのであろうと思ッて、善吉はじッと見下した。
雪よりも白い領の美くしさ。ぽうッとしかも白粉を吹いたような耳朶の愛らしさ。匂うがごとき揉上げは充血くなッた頬に乱れかかッている。袖は涙に濡れて、白茶地に牛房縞の裏柳葉色を曇らせている。島田髷はまったく根が抜け、藤紫のなまこの半掛けは脱れて、枕は不用もののように突き出されていた。
善吉はややしばらく瞬きもせず吉里を見つめた。
長鳴するがごとき上野の汽車の汽笛は鳴り始めた。
「お、汽車だ。もう汽車が出るんだな」と、善吉はなお吉里の寝顔を見つめながら言ッた。
「どうしようねえ。もう汽車が出るんだよ」と、泣き声は吉里の口から漏れて、つと立ち上ッて窓の障子を開けた。