Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けさのゆき

今朝の雪

宮本 百合子

Lisez 今朝の雪 (けさのゆき) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 936 caractères · 24 écrans

Aozora Bunko

あの四五日後、坂本、急に新潟へ行ったのよ」

坂本はある政治雑誌につとめていた筈であった。

「御主張?」

「勤めがかわったんです。今度は何だか伯父のひっぱりで、軍需会社の社長秘書なんですって」

坂本には、そういう風に時勢への目はしが利くらしいところがあった。

「じゃあなたあのアパートに一人で淋しいのね」

「引越しているのよ、実家の方へ」

もう仕事のつづきにかかっているとき子の敏捷な指先の動きに、ぼんやり視線を休めながら紀子は高い靴の踵を床の上で、グリリグリリとうごかしている。

その様子にも、念入りに化粧した顔にも、自分で自分がはっきりしていないというような表情が漂っている。ふわふわした気質ではあったが、坂本とアパートでエプロン姿でいたとき、こういう雰囲気は紀子の身についていなかった。

紀子はしばらくして、半ば歎息するように、

「でも、本当にあなたがた羨しいわ。望むとおりに行動していらっしゃれるんですもの、やっぱり才能の問題ね」

「ソラ、おはこが出た……」峯子はおだやかな非難をこめて、

「まだそんなこと云っているなんて。――紀子さんこそ行動的で皆をびっくりさせたじゃありませんか」