Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゃぼてんのはな
仙人掌の花
山本 禾太郎
Lisez 仙人掌の花 (しゃぼてんのはな) de 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 282 caractères · 19 écrans
初夏の光が海一ぱいに拡って、遠い海のはては、次第に灰色にかすんでいる、そのかすんだ灰色のなかから、黒い大きな波が魔物のように押し寄せて、怒りそのもののように岸をかんでいる。
閑枝の心は、またしても淋しさに捉えられた。
帰りは自動車に乗った。
陽にかがやいた磯。白く光る波頭。暗く灰色にかすんだ海の涯が、いつまでも閑枝の心にのこっていた、机の抽出には、遺書と、未知の人から来た手紙とが、何時までも這入っていた。
「あんなことを云っても、ほんの一ときの気まぐれから、いたずら半分の手紙だろう」
斯う思い捨てても、時折はその手紙を出して眺めることもあった。別に大きな期待をかけている様でもなかったが、それでも現在の閑枝に取ってただ一つの刺戟である手紙の主がこのまま、消えてしまうことは淋しいことには、違いなかった。
しかし、それから四五日の後、閑枝は机の上に、再び差出人の署名のない、白い角封筒を見出した。
私は、あなたへの手紙を、毎日書いています。それが現在の私の仕事の総てです。世に容れられない身体を持った私は、何度自殺と云うことを考えたでしょう。だが死ぬ勇気さえもなく私は惰性のような命をもって、この温泉場に逃れてきました。