Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Lisez 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 403 caractères · 39 écrans
生命の惜からぬ身には、操るまでの造作も要らぬ。小さな通船は、胸の悩みに、身もだえするままに揺動いて、萎れつつ、乱れつつ、根を絶えた小船の花の面影は、昼の空とは世をかえて、皓々として雫する月の露吸う力もない。
「ええ、口惜しい。」
乱れがみをりつつ、手で、砕けよ、とハタと舷を打つと……時の間に痩せた指は細くなって、右の手の四つの指環は明星に擬えた金剛石のをはじめ、紅玉も、緑宝玉も、スルリと抜けて、きらきらと、薄紅に、浅緑に皆水に落ちた。
どうでもなれ、左を試みに振ると、青玉も黄玉も、真珠もともに、月の美しい影を輪にして沈む、……竜の口は、水の輪に舞う処である。
ここに残るは、名なればそれを誇として、指にも髪にも飾らなかった、紫の玉ただ一つ。――紫玉は、中高な顔に、深く月影に透かして差覗いて、千尋の淵の水底に、いま落ちた玉の緑に似た、門と柱と、欄干と、あれ、森の梢の白鷺の影さえ宿る、櫓と、窓と、楼と、美しい住家を視た。
「ぬしにもなって、この、この田舎のものども。」
縋る波に力あり、しかと引いて水を掴んで、池に倒に身を投じた。爪尖の沈むのが、釵の鸚鵡の白く羽うつがごとく、月光に微に光った。