Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ロンドンとう

倫敦塔

夏目 漱石

Lisez 倫敦塔 (ロンドンとう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 166 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

弟は世に憐れなる声にて「アーメン」と云う。折から遠くより吹く木枯しの高き塔を撼がして一度びは壁も落つるばかりにゴーと鳴る。弟はひたと身を寄せて兄の肩に顔をすりつける。雪のごとく白い蒲団の一部がほかと膨れ返る。兄はまた読み初める。

「朝ならば夜の前に死ぬと思え。夜ならば翌日ありと頼むな。覚悟をこそ尊べ。見苦しき死に様ぞ恥の極みなる……」

弟また「アーメン」と云う。その声は顫えている。兄は静かに書をふせて、かの小さき窓の方へ歩みよりて外の面を見ようとする。窓が高くて背が足りぬ。床几を持って来てその上につまだつ。百里をつつむ黒霧の奥にぼんやりと冬の日が写る。屠れる犬の生血にて染め抜いたようである。兄は「今日もまたこうして暮れるのか」と弟を顧みる。弟はただ「寒い」と答える。「命さえ助けてくるるなら伯父様に王の位を進ぜるものを」と兄が独り言のようにつぶやく。弟は「母様に逢いたい」とのみ云う。この時向うに掛っているタペストリに織り出してある女神の裸体像が風もないのに二三度ふわりふわりと動く。

忽然舞台が廻る。見ると塔門の前に一人の女が黒い喪服を着て悄然として立っている。