Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Lisez 偸盗 (ちゅうとう) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 934 caractères · 97 écrans

Aozora Bunko

女は、白地にうす紫の模様のある衣を着て、市女笠に被衣をかけているが、声と言い、物ごしと言い、紛れもない沙金である。――次郎は、石段をおりながら、じっとくちびるをかんで、目をそらせた。が、二人とも、次郎には、目をかける様子がない。

「じゃよくって。きっと忘れちゃいやよ。」

「大丈夫だよ。おれがひきうけたからは、大船に乗った気でいるがいい」

「だって、わたしのほうじゃ命がけなんですもの。このくらい、念を押さなくちゃしようがないわ。」

男は赤ひげの少しある口を、咽まで見えるほど、あけて笑いながら、指で、ちょいと沙金の頬を突っついた。

「おれのほうも、これで命がけさ。」

「うまく言っているわ。」

二人は、寺の門の前を通りすぎて、さっき次郎が猪熊のばばと別れた辻まで行くと、そこに足をとめたまましばらくは、人目も恥じず、ふざけ合っていたが、やがて、男は、振りかえり振りかえり、何かしきりにからかいながら、辻を東へ折れてしまう。女は、くびすをめぐらして、まだくすくす笑いながら、またこっちへ帰って来る。――次郎は、石段の下にたたずんで、うれしいのか情けないのか、わからないような感情に動かされながら、子供らしく顔を赤らめて、被衣の中からのぞいている、沙金の大きな黒い目を迎えた。