Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
びぜんてんいちぼう
備前天一坊
江見 水蔭
Lisez 備前天一坊 (びぜんてんいちぼう) de 江見 水蔭 (えみすいいん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 511 caractères · 25 écrans
もう三百両の金無駄にされても好い。お前が又出世せずとも宜しい。元の通りに拙尼と、人知れず……」
「まァまァ智栄殿。ここが大事のところじゃ。どうか拙者を出世さして下さりませ。今のはホンの出来心」
「その出来心が気に入らぬ」
「いや、もう決して再び、他の女に」
こうして縺れ合っているところへ、立聞きのお幸が注進したので、奥二階から駈け着けて来た医師の奥野俊良。
「まァまァ智栄殿。まァ腹も立とうが、ここが一番大事のところ。何事も御かんべん御かんべん。とにかく先ず奥二階へ」
猛り立った智栄尼を俊良は奥二階へ連れて行き、左内と共に哀訴嘆願。男子が二人揃って何度お辞儀をしたか拝んだか分らなかった。
つまりこの尼と金三郎とは深い関係であった。それを説いて今度の運動費を出させて、それで三人が備前岡山に乗込んだのであった。
結局どうやらこうやら、納まらぬなりに納まって、智栄尼は一先ず表二階の部屋へと帰ったが、夜更けてから又離れ座敷へ、忘れ物を取りになど拵えて、金三郎が一人か否か、それを見廻りにと出掛けもした。尼の嫉妬はその時代として前代未聞、宿の者もまた興を覚していた。
明くる日になって、朝の食事が済んでからであった。