Classiques japonais avec furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lisez 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) de Nakajima Atsushi (中島 敦) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 79 032 caractères · 158 écrans
其処はアピア市の南方三哩、休火山ヴァエアの山腹で、五つの渓流と三つの瀑布と、その他幾つかの峡谷断崖を含む・六百呎から千三百呎に亘る高さの台地である。土人は此の地をヴァイリマと呼んだ。五つの川の意である。鬱蒼たる熱帯林や渺茫たる南太平洋の眺望をもつ斯うした土地に、自分の力で一つ一つ生活の礎石を築いて行くのは、スティヴンスンにとって、子供の時の箱庭遊に似た純粋な歓びであった。自分の生活が自分の手によって最も直接に支えられていることの意識――その敷地に自分が一杙打込んだ家に住み、自分が鋸をもって其の製造の手伝をした椅子に掛け、自分が鍬を入れた畠の野菜や果実を何時も喰べていること――之は、幼時始めて自力で作上げた手工品を卓子の上に置いて眺めた時の・新鮮な自尊心を蘇らせて呉れる。此の小舎を組立てている丸木や板も、又、日々の食物も、みんな素性の知れたものであること――つまり、其等の木は悉く自分の山から伐出され自分の眼の前で鉋を掛けられたものであり、其等の食物の出所も、みんなはっきり判っている(このオレンジはどの木から取った、このバナナは何処の畠のと)こと。之も、幼い頃母の作った料理でなければ安心して喰べられなかったスティヴンスンに、何か楽しい心易さを与えるのであった。