Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いりえのほとり

入江のほとり

正宗 白鳥

Lisez 入江のほとり (いりえのほとり) de 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 430 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

「晩まで勝にこのテーブルを貸しておくれな。腰を掛けて勉強したら、お腹がよう減って気持がようなるかもしれんから」

「………」辰男は自分の机や椅子を他人に――たとい妹であっても――使われるのが厭であったが、他人に向って――たとい妹であっても――否と断言することはできなかった。むろん快い承諾を与える気にもなれないのだが……

「使うてもよかろう! 本はちゃんとこのままにしておくがな」

「フーン」と辰男は微かな返事をした。カラアもネクタイもつけない洋服の上に短いトンビを着て、弁当を提げて裏口から家を出て、狭い車道を通って学校へ向った。

子供たちも揃って出て行くと、広々とした家の中は大風の跡のように静かになった。母や兄嫁は立ったり坐ったり、何となしに家事に忙しかったが、勝代はざっと二階の掃除をして、時間はずれの朝餐を一人で食べると、下女に吩咐けて、二階の炬燵に火を入れさせて閉籠った。良吉の帰っている間入学試験の準備を怠っていたので、もはや小説など読耽ってはいられなかった。上京までの日数を数えると心が惶だしかった。……もしも落第をしようものなら、一年前に入学している朋輩に対しても家の者や村の者に対しても、おめおめ顔は合わされない。