Classiques japonais avec furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lisez 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 664 caractères · 323 écrans
という写本であって、部屋に戻ると葉之助は熱心にそれを読み出した。
水狐族なるものの発生とその宗教の輪廓とが朧気ながらも解って来た。
――平安朝時代のことであるが、この諏訪の国の湖水の岸に一個の城が聳えていた。城の主人を宗介と云いその許婚を柵と云ったが柵は宗介を愛さずに宗介の弟の夏彦を命を掛けて恋した果て、その夏彦の種を宿し産み落とした娘を久田姫と云った。これぞ悲劇の始まりで、宗介と夏彦とは兄弟ながら恋敵として闘った。
二二
諏訪湖にまたは天竜川に、二人の兄弟は十四年間血にまみれながら闘ったが、その間柵と久田姫とは荒廃た古城で天主教を信じ佗しい月日を送っていた。十四年目に宗介は弟夏彦の首級を持ち己が城へ帰っては来たがもうその時には柵は喉を突いて死んでいた。
「俺はあらゆる人間を呪う。俺は浮世を呪ってやる!」こう叫んだ宗介が八ヶ嶽へ走って眷属を集めあらゆる悪行を働いた後、活きながら魔界の天狗となりその眷属は窩人と称し、人界の者と交わらず一部落を造ったということは、この物語の冒頭において詳しく記したところであるが、一人残った久田姫こそ、いわゆる水狐族の祖先なのであって、父夏彦の首級を介えた憐れな孤児の久田姫は、その後一人城を離れ神宮寺村に住居して、聖母マリヤと神の子イエスとを、守り本尊として生活