Classiques japonais avec furigana
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わかれのじ
別れの辞
豊島 与志雄
Lisez 別れの辞 (わかれのじ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 330 caractères · 37 écrans
そして今でも、静葉の目配せを受けると、島村はすぐにうなずいて、それからゆっくり立上った。
二人はそのまま出て行こうとした。
真先に気がついたのはおけいだった。彼女は呼びとめた。
「島村さん、どこへいらっしゃるの。」
島村は向き直っていった。
「外へ出るんです。」
そして彼は一寸皆を見据えた。額が蒼ざめて、口元に云い難い微笑を浮べていた。何でもない言葉であり、何でもない態度であるだけに、その中に籠ってるものが明かに感ぜられた、一種の挑戦と蔑視とが。殊にその微笑は、打撃の効果を意識してる者のそれだった。緊張した空気が流れた。瞬間に、静葉が云った。
「では、皆さん、失礼……。」
長く引張った失礼の発音が、その緊張を皮肉なものにした。誰も口を利かなかった。二人は出ていった。
宮崎が、長卓の上の灰皿を土間に叩きつけた。清子はそれを引止めたが、宮崎はなお、転ってる灰皿の破片を足で蹴散らした。険悪な空気になった。おけいは真蒼な顔をしてつっ立っていた。
「追い出して下さい、乱暴な……。」
呆気にとられていた野口が云った。
「一体どうしたんですか。」
清子が一緒になって灰皿の破片を蹴散らしてるのを見て、おけいは歯をくいしばって、酒をぶっかけようとした。