Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひみつ
刺青・秘密
谷崎 潤一郎
Lisez 刺青・秘密 (ひみつ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 935 caractères · 66 écrans
或る朝、私は雷門の角へ立って眼をつぶりながら二三度ぐるぐると体を廻した後、この位だと思う時分に、俥と同じ位の速度で一方へ駆け出して見た。唯好い加減に時間を見はからって彼方此方の横町を折れ曲るより外の方法はなかったが、丁度この辺と思う所に、予想の如く、橋もあれば、電車通りもあって、確かにこの道に相違ないと思われた。
道は最初雷門から公園の外郭を廻って千束町に出て、龍泉寺町の細い通りを上野の方へ進んで行ったが、車坂下で更に左へ折れ、お徒町の往来を七八町も行くとやがて又左へ曲り始める。私は其処でハタとこの間の小路にぶつかった。
成る程正面に印形屋の看板が見える。
それを望みながら、秘密の潜んでいる巌窟の奥を究めでもするように、つかつかと進んで行ったが、つきあたりの通りへ出ると、思いがけなくも、其処は毎晩夜店の出る下谷竹町の往来の続きであった。いつぞや小紋の縮緬を買った古着屋の店もつい二三間先に見えて居る。不思議な小路は、三味線堀と仲お徒町の通りを横に繋いで居る街路であったが、どうも私は今迄其処を通った覚えがなかった。散々私を悩ました精美堂の看板の前に立って、私は暫く彳んで居た。