Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひみつ
刺青・秘密
谷崎 潤一郎
Lisez 刺青・秘密 (ひみつ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 935 caractères · 66 écrans
私は不断の泣虫にも似合わず、涙一滴こぼしては居ないのである。たとえば哀音に充ちた三味線を聞く時のような、冴え冴えとした、透き徹った清水のように澄み渡った悲しみが、何処からともなく心の奥に吹き込まれて来るのである。
長い長い松原の右の方には、最初は畑があるらしかったが、歩きながらふと気が付いて見ると、いつの間にやら畑ではなくなって、何だか真暗な海のような平面がひろびろと展けて居る。そうして、平面のところどころに青白いひらひらしたものが見えたり隠れたりする。左の方から、例の磯ッ臭い汐風が吹いて来る度に、その青白いひらひらは一層数が多くなって、皺がれた、老人の力のない咳を想わせるような、かすれた音を立てながらざわざわと鳴って居る。海の表面に波頭が立つのか知らとも考えたが、どうもそうではないらしい。海があんなカサカサした声を出す訳がない。どうかした拍子には、魔者が白い歯をムキ出してにやにや笑って居るようにも見えるので、私は成るべくその方へ眼をやらないように努めた。けれども、薄気味が悪いと思えば思うほど、やっぱり見ずには居られなくなって、時々ちらりとその方を偸み視る。